演劇学科の学生がアニメ「ひなこのーと」を考察してみる(事前情報編)

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こんにちは、かまどキッチンです。

今日はこの春放送開始の演劇コメディアニメひなこのーとにスポットを当てていきます。

なんと演劇を題材にしたアニメ作品が放送されるということで、演劇学科に通う僕がインターネット配信の始まる明後日を前に事前情報から色々考察してみるという記事です。個人の勝手な見解やなんとなくが多分に含まれますので、なんとなくで呼んでくれると嬉しいです。

 

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アニメに限らずスポーツや職業など実在する題材を取り扱った作品が現れたとき、「こんなんじゃねえ!」と非難を浴びせられることは少なくありません。 

フィクションのフィルターを介した作品に現実の常識を持ち出すのはナンセンスかもしれませんが、テニスボールが相手プレイヤーをはるかかなた観客席へ吹き飛ばしたり敵の必殺シュートを止めるためにキーパーがゴールへとよじ登る姿を見れば文句の一つでも言いたくなる当事者の気持ちも分からないではありません。

 

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かつて平田オリザ氏の同名小説を原作とした『幕が上がる』が映画化した際も、題材となった高校演劇の部員界隈では賛否両論あったものでした。

演劇を取り扱うコンテンツが音楽等と比べ少ないことも相まり、何れにしてもとても盛り上がりました。舞台版のソフト化も決定したそうなので気になる方は是非見てみてください。

 

  

 

さて、というわけで僕のホームグラウンドである演劇を取り扱う作品、ひなこのーとについてお話していこうと思います。

先にも書いたように、演劇を取り扱う作品はお世辞にも多いとは言えません。最近の漫画作品で演劇を取り扱うものと言えば、『累〜かさね〜』『Now playing』『マチネとソワレ』『文豪アクト』でしょうか? アニメ化された作品には見当もつきません。最近だと小林さんちのメイドラゴン』で演劇回があった程度ですね。そういった意味で非常に稀有な存在であると言えるでしょう。

 

   

 

上述の通り、フィクション作品に現実の常識を持ち出した批判は絶えません。しかし、それはフィクションという大きな力を持った存在への期待の裏返しともとれます。大きな影響力を持つアニメーション作品となれば尚更でしょう。

というわけで今回は演劇界の期待を一身に背負っている(気がしないでもない)『ひなこのーと』に迫っていきます。

 

☆あらすじを見てみる

ひなこのーと』はコミックキューンで連載中の三月氏による漫画作品です。

 

あらすじ

口下手であがり症の桜木ひな子は、これを克服するため、憧れの藤宮高校演劇部に入ろうと上京する。下宿先は古本屋で、本を食べる少女がいたうえ、高校の演劇部はすでに廃部になったと聞かされる。アパート「ひととせ荘」や学校の仲間と繰り広げられる、“同居型演劇コメディ”

Wikipediaより引用)

 

"本を食べる少女"というパワーワードに気圧されがちではありますが、シンプルに面白いあらすじです。

高校演劇出身の僕としては、あがり症克服のために入部という理由にも共感できます。さらに主人公と同じく僕も演劇系大学への入学を機に上京した身。廃部を知った主人公の絶望といったらないでしょう。どうやら物語は失われた創作環境を取り戻すサクセスストーリーであるようです。

同居型演劇のワードは贅沢貧乏の家プロジェクトを彷彿とさせます。贅沢貧乏の家プロジェクトは演劇をより生活に密接させるべく企画されたものです。家で生活、創作、上演のすべてを行う取り組みは新しくもあり、演劇を生活という人の根本に立ち返らせる素晴らしい試みでした。

古くはトキワ荘から始まるクリエイターを排出するシェアハウスは、昨今のシェアハウス流行を受け現在も増えています。渋家が代表と方針を変えて波にのる中、ひなこのーと』も大きな波に乗っていこうということなのでしょうか? これらはまだ一般的とは言えないため、アニメというビッグコンテンツに取り上げられることには大きな意味がありそうです。

ひなこのーと』、演劇コメディを名乗るだけあってあらすじから楽しませてくれます。しかしこうなってくると"本を食べる少女"というパワーワードがより一層浮いてきます。

食べた戯曲を完璧に暗唱できる能力とかなんですかね。お腹壊しそうなのでほどほどにしてほしいと思います。

 

☆公式PVを見てみる

公式サイトでは番組ユニットである劇団ひととせによる早口言葉挑戦動画やアニメのプロモーションビデオが公開されています。劇団ひととせは作中登場する劇団で、アニメ化を機に結成された期間限定の演劇ユニットとのことでした。実はもう現実には絶賛活動中の同名劇団が存在するのですが、なんだか切ないですね。アニメの巨大市場にも屈さずこれからも頑張ってほしいです。

 

それでは早速アニメPVを見てみましょう。

 

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こいつか。

 

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「わたし、読書が好きで。本が友達というか、食べちゃいたいくらい可愛くて……」

 

PV第2弾で彼女の異常行動が性癖であるという衝撃の事実が本人から告げられます。本を可愛いと言う時点で理解の遠く彼方にいるというのに、もう脳内はパニックです。対象は本ということですが、これは一種のカニバリズムなのでしょうか?

何より本を喰らって尚その行為を読書と呼ぶことに驚きです。変わり者が多いと言われている演劇人でも彼女を前にしたらひれ伏すしかないでしょう。いや、でも本は食うなよ。

 

「下宿先のひととせ荘に住む個性的な女の子たちが繰り広げる可愛くて楽しい演劇コメディ」

 

本を喰う狂人を個性的な女の子と呼ぶ主人公の肝っ玉にはただただ感服ですが、とりあえず可愛くて楽しいことは分かりました。

突っ込みどころは少なくありませんが全てに突っ込んでいるとキリがないのでこの程度にしておきます。あと一つ何か挙げるなら現状大苦戦している身として「演劇そんなにやりたいなら、劇団立ち上げてみたら?」というキャラクターの軽いノリの提案には「やれるならやってるよ! ばか!」と言いたくなったりしました。

会社なんかと違って劇団のありようは人それぞれなので確かに立ち上げ自体は簡単かもしれませんが、どこの誰だか知らない人と演劇をやってくれる優しい人はなかなかいません。演劇って難しいですね。

 

さて、いささかおいたが過ぎましたが、とても楽しそうなアニメだということがPVから分かりました。数分間の映像も実際のアニメが切り貼りされてできているだけあって情報満載。可愛い主題歌やキャラクターボイスもここで聴くことができるので、気になる人はここから観てみるのも良いと思います。

 

☆『ひなこのーと』への期待をまとめてみる

さて事前情報をざっと見てみましたが、この作品はいわゆる演劇を題材にした日常系アニメという事だったんですね。色々見ているうちに愛着が湧いてきたので、早速演劇仲間みんなに広めてみたいです。女の子たちみんな可愛いですし。

ひなこのーと』は明後日、4月14日(金)に各インターネットサイトで配信開始されます。僕はいまのところGYAOで観るつもりです。「ひなこのーとで興味持ちました!」と全国の演劇部や劇団の門を叩いてくれる新人が現れることにも期待したいと思います。

 

TVアニメ「ひなこのーと」公式サイト